授業終わり、気楽な喧騒に満ちた二年のフロア。
けれど、いつものように俺と京が廊下に出た瞬間──
空気が、一瞬で変わった。
カツカツと靴音を響かせて歩けば、周囲の連中は不自然に肩を強張らせ、道を開けるように左右に退いていく。
この学校において、俺──九条霞がこうして視線を掻っ攫うことは、呼吸をするのと同じレベルの日常だ。
隠そうともしない憧憬。
九条の名を知る者の畏怖。
あるいは、俺の気まぐれに掠り、特別な存在になれるかもしれないという浅ましい期待──
そんな反吐が出るような雑多な視線を受け流しつつ、俺は二年のフロアを後にする。
ようやく人混みから解放され、峰間京と適当な雑談を交わしながら、昇降口に向かう階段を降りていたそのとき。
