さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜




なん、だ、これ。

なんで、こんな……?



──やがて、そっと、音もなく離れる唇。


いまだに状況を理解できず硬直する私の耳元に、彼女は近づいて──



「私、千歳になら汚されてもいいよ」



やさしく。

それでいて、熱を帯びた囁きを落とした。


麻痺していた私の脳が、ようやくゆったりと動き出す。



『千歳になら、汚されても良いよ』



汚されてもいい。

それって、つまり。



「は…………?」



オレンジ色に染まった教室、風で微かに揺れるカーテン。


その静寂の中心で、人生初めての『女の子からのキス』を受けた私は──

ただ絶句して、呆然と固まることしかできなかった。