さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



そう気づいた瞬間、ようやく少し楽に呼吸ができるようになった。


……いや、うん。確かに、考えてみればそうだよね。

茉白ちゃんが好きなのは、下心のない私なんだから。

変に男女の関係に発展させるより、このまま友達同士の関係でいた方が、彼女にとってもよっぽど楽なはず。


と、小さく安堵のため息を落としかけた──


そのとき。


「だからさ……
ちょっと卑怯なことする」


俯く私の顎を、指先がすくった。


……え。


その言葉に、聞き返す間もなく。

驚いて大きく見開かれた私の瞳に、彼女の睫毛がふっと近くなって──


唇が、重なった。



「…………?」



夕暮れの西日も。

自分の心臓の音も。

すべてが、一瞬にして遠のいて。


真っ白になった頭の中、私は他人事のように、彼女の唇の感触を受け入れるしかできない。