さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



…………どうすれば。


今日の今日まで、こんな展開になるだなんて予想だにしていなかった。

あまりに衝撃が大きすぎて、まともな打ち返しでもできず、呆然として固まる私に。


「……あは、混乱させてごめんね」


視線を合わせ、ふわ、と微笑みかけてくる茉白ちゃん。

いつも通りのようでいて、どこか切なげなその表情に、胸の奥がギュッと抉られる。


……何か。

何か言わなきゃ。


控えめな彼女なりに、勇気を振り絞って言ってくれたんだろうから。


でも……何を?


「えっと、その……ごめん、俺」


結局、意味を成さない言葉ばかり吐き出して、なんとか沈黙を潰そうとする私。


そんな私を見かねたのだろう──

茉白ちゃんは、こちらを安心させるような声音で、静かに遮ってくれる。


「大丈夫。千歳が私のこと、そういう目で見てないってことは知ってるから」


その言葉に、私はちょっと目を見開いた。


……あ。

そっ、か。


べつに、返事を急かしてるわけではないのか。