さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



──違う。

違うよ、茉白ちゃん。


茉白ちゃんが唯一だと思ってる私の視線は、私が立派な人間だからじゃない。

ただ単に、私が女だからってだけで。


私は茉白ちゃんが思ってるような聖人君子じゃなくて──

むしろ茉白ちゃんを霞攻略のための駒として利用するような、そんな程度の人間だから。


……と、そんなことを正直に伝えられるはずもなく。


私は喉元までせり上がってくる罪悪感を飲み込んで、ぽつり、と絞り出すように一言だけをこぼす。


「……ごめん」

「えーちょっと待って、なんで謝んの。……こっちこそなんか重い話しちゃってごめんね?」


私の深刻すぎる表情を見て焦ったのか、今までの空気を払拭するように、明るいトーンで返してくれる茉白ちゃん。

それでも私は、到底割り切れないまま黙って俯いていた。