驚いたように目を見開く篤彦と京。
「とりあえず、千歳もらっていいですか。俺らちょうどこれから朝練なんで」
見せつけるように私の肩を抱き寄せ、さらりと髪に指を通してくる遥風。隠しきれていない独占欲が瞳にチラつく。
あら、というふうに口元を押さえる篤彦、面白そうに目を細める京。
頭の良い人と勘のいい人の前でそれは、流石に勘付かれるって……!
1人焦って、咎めるように遥風の背中を小突くけど、手を離す気配はない。
「そかそか。悪かったな〜お邪魔して」
ニコニコと甘い微笑を携えながらそう言うと、私に向かってひらひらと手を振ってくる篤彦。
「じゃ、頑張ってな千歳くん。なんか困ったことあったらいつでも頼ってや♡」
篤彦の甘い声音に何か返す間もなく、私は遥風にグイグイと引っ張られてその場を後にした。
その相変わらずの強引さに、内心ため息を吐いていると。
「けっこー吹っ切れた感じだろ」
私を引っ張ったまま振り返らず、そんなことを言う遥風。
自慢げに、少し弾んだ声音。
「親のこと頭から消したら、自分でもびっくりするくらい歌って踊るのが楽しいんだ」
そう言って、ふふっと楽しそうに笑う。
そんな彼の姿を見て、私の胸の中に暖かい感情が溢れる。
ああ、よかった。
彼の中の燻りが、きっと少しおさまったんだろう。
それが一目見て分かるほどに、さっきの彼のパフォーマンスは衝撃的だった。
経験者ならではの余裕に、本当に自分に自信を持っている人しか出せない不敵なオーラ。
「……うん。カッコ良かった」
