待てよ。私は今、一応彼女に男として認識されているわけで。
だとしたら、二人きりの密室で香水を聞くのとか、下心として捉えられそうじゃない?
というかそもそも、茉白ちゃんは今この状況すら気まずく思ってる可能性だってある。
だって私も、男友達と密室で二人きりになったときは、変なムードに転がるのが怖くてさっさと逃げ出したくなるし。
心配になってしまった私は、恐る恐る隣の茉白ちゃんに聞いてみた。
「……大丈夫?その、男と二人きりとか嫌じゃない?」
私の問いかけに、茉白ちゃんはキョトンと目を丸くした後──
ようやくその意味を理解したらしく、あははっ、と軽く笑い飛ばした。
「なーにそれ。全然平気だよ」
「本当に?気まずかったら俺、別に──」
「いや、なんていうの。さっきの『目に欲がない』話の続きじゃないけどさ?」
言いながら、机に頬杖をつき、じっとこちらを見つめてくる茉白ちゃん。
「千歳ってなんか、視線が清潔なんだよね。下心とか、男特有のギラギラした感じが無いっていうか」
「……」
女だからね。
どこぞのヤクザ御曹司のような、女の子を性的に品定めする偉そうな視線なんて、逆立ちしたって出せるわけがない。
