──昼休み、夏葉ちゃん相手に開講した『千歳塾』は、思ったより好評だった。
『あの更年期ババアの百倍分かりやすいって!うち留年回避できるかも!』と一筋の希望を見出した夏葉ちゃんにより、リピート開催を熱烈に求められ。
結果、一回限りで終わらせるつもりだった私の特別授業は、授業終わりの放課後まで雪崩れ込むこととなった。
幸い、スイモニの2人は次のスケジュールまで少し余裕があるらしい。
私たちは他の生徒が全員帰った後の教室で机をくっつけ、学生らしく勉強会を開いていた。
「……えもうこれは絶対?」
「うん、これはもう公式としてあるから。そういうものだと思って」
「りょーかい。ってことはこれも同じやり方でいけるべ」
勉強の邪魔にならないよう、長い髪をシュシュでひとまとめにした夏葉ちゃん。
ピンク色のシャーペンをサラサラと走らせて、難易度高めの応用問題に次々と挑んでいく。
……多分この子、今までまともに勉強してこなかっただけで、地頭は良いんだろうな。
私がちょっとヒントを出してやれば、秒で理解して教えてない問題まで完璧に解いてくる。
予想以上の飲み込みの早さに、こちらが逆に圧倒されてしまうくらいだ。
この問題も合ってるし、これも合ってる……いやもうこれ私いらないんじゃないの?
