「……もしかして夏葉ちゃん、勉強できないの」
呆れ混じりに聞いてみると、夏葉ちゃんは何故か自信満々にウインク+親指を立ててきた。
「もちろん!仕事で中学まともに行けてないからマジで教養ないよ」
「……良かったら教えようか?俺、普通に学校通ってたし」
私が提案すると、「えマジッ?!いいの?!」と目を輝かせる夏葉ちゃん。
とは言っても、この提案は親切心二割くらいで、残りは全部霞から逃げる口実目的だ。
「もちろん。今時間あるしちょっと教えるね。席そっち行くよ」
食い気味でそう答えると、私は机の下で繋がれたままの指を無理やり振り解いた。
はぁ……死ぬかと思った。これでようやく呼吸ができる。
私は逃げるように席を立って、夏葉ちゃんの隣へと移動する。
「千歳やさし〜!もう京くんじゃなくて千歳と付き合うわ私」
「「は?」」
「いやいいからいいから。で、どこからが分かんないの?」
危うく別方向で勃発しかけた修羅場を慌ててぶった斬る。
全くもう、油断も隙もない……。
ストレスでこめかみが痛くなるのを感じながら、私はため息を飲み込んで、夏葉ちゃんのナトリウムだらけの答案用紙を手に取るのだった。
