「ってかてか聞いてほしい。うちこの前の化学の小テスト、名前ちゃんと書いて全部埋めたのに0点だったわ」
「どゆこと?」
眉をひそめて聞き返した茉白ちゃんに、夏葉ちゃんはぬいぐるみが大量にぶら下がったスクバから答案用紙を取り出す。
あわよくばその会話に乗っかってこの空気を有耶無耶にしたいと思った私は、茉白ちゃんと一緒に彼女の答案用紙を覗き込んでみた。
すると──
『①Na②Na③Na……』
「いやなんでNa全ベット」
「夏葉のNa。今考えたら京くんのKにしとくべきだった〜」
「そういう問題じゃないからね」
この子マジか……五月には中間考査もあるっていうのに、大丈夫なの?
表情を引き攣らせる私の隣で、茉白ちゃんが指摘する。
「津々谷からのコメント書いてあるよ。『がっかりです』だって」
「ハ?イライラしてんじゃねーよクソババア生理か?」
「もう閉経してんだろ」
失礼すぎるジョークで腹抱えて笑う茉白ちゃんと夏葉ちゃん。
茉白ちゃんってお淑やかに見えて、男子の前でも普通に女子校ノリかましてくるから怖い。
