さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



……いや、本当になんなの??


このヤクザ、非言語的な威圧感が死ぬほど強いから、隣にいるだけでもちょっと嫌なのに。

圧死しそう……。


と、内心冷や汗ダラダラになっていたその時。



「可愛い」



ぽつり。

不意に耳元で落ちた予想外の言葉に、思考が止まった。


……

……は??


今、私に向けて言った……??


「なんですか?」


思わずパッと視線を合わせると、霞はちょっと目を見開いて数秒固まった後──

フン、と鼻で笑って視線を逸らした。


「お前じゃねぇよ。後ろの茉白を見て言っただけ」


はい絶対嘘。

さっきまでずーっと見られてたの、私が気づいてないとでも?ほんっと面倒臭いなぁもう……。


絶対に私のこと意識しまくってるくせに、いつもこうして頑なにそれを認めてくれない。

ようやく進展したかと思ったら、結局こんなふうにはぐらかされる。