さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



慌てて振り向くと、私たちのソファの背もたれの後ろに立っていたのは──

峰間京。


ニコニコといつも通りの軽薄な笑みを浮かべてるけど、びっくりするくらい目が笑ってない。


「JK相手にあんま興奮すんなよ九条霞」

「どっちかっつーと俺より千歳の方がドキドキしてたけど」

「怯えちゃったんでしょ。急にベタベタ触られて怖かったね〜千歳ちゃん」


冗談めかして、わざとらしく私の頭を撫でてくる京。


何も知らない人から見れば、悪ノリの延長線みたいに見える二人の煽り合いだったけど──

挟まれている私だけは、彼らの間の空気が完全に冷え込んだのを感じ取ってしまった。


エマプロにいた時に散々体験してきた、修羅場寸前の空気感。

経験は山ほどあるはずなのに、未だにどう処理すればいいのか分からない。


お願いだから、早く話題が違う方向に逸れて……!!と、祈るような気持ちで肩をすくめていた──

その時。