さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



ほぼ初絡みの年上をぶった斬る長谷川夏葉、肝が据わってるのか命知らずなのか……。

陽斗はもう露骨にイラついた顔になって無理矢理夏葉ちゃんの手を払いのけると、スクバを肩にかけ直す。


「本当に僕を引き入れたかったら、一千万くらい積んでから来な。あ、もちろん非課税でね」

がめつ。

最悪な捨て台詞を吐き捨て、再度くるりと踵を返す陽斗。

宝くじでも買ってろよ……と、完全に呆れモードで見送ろうとする私だったけど。

ここで、ずっと黙って様子を見ていた茉白ちゃんが、ぽつりと独り言のように呟いた。


「一千万円は無理だけど……この千歳とTikTok撮ったら、軽く一千万再生は固いよね〜」


ぴたり。

陽斗の足が止まる。


数秒間の逡巡の後──

再び振り向いた彼の目には、チャリーン!と光る『¥』マーク。


くるりとこちらに向き直り、ズカズカズカと私のそばに戻ってきた陽斗が、私を頭からつま先までじーーっと真顔で査定してきた。