「薄いチーク涙袋乗せよ。で、その赤いのも目の下のキワにちょっと」
「まつ毛どーする?全体上げたあと、中心だけホットビューラーで上げる?」
「それでいいよ、目尻は流した方が垂れ目っぽくて可愛いから。下まつ毛も作っちゃお。ピンセットどこ?」
ラウンジの端っこ、夕暮れの光が差し込むソファ席にて。
私の顔の上で、茉白ちゃんと夏葉ちゃんによる顔面大改装会議が淡々と進行していた。
──五限終わり、勿論私は昼のくだりを無かったことにして気配を消し逃走を試みたが。
昇降口付近でギリギリ見つかってしまい、茉白ちゃんと夏葉ちゃんにがっちりと両脇を固められてここまで連行される運びとなった。
しかも、今日の二人は久々に丸一日オフらしい。
つまり、放課後も心ゆくまで私の女装作戦を堪能できるということだ。
彼女たちにとっては都合が良いだろうが、私にとっては不都合にも程がある。なんでよりによってこんな日に……。
