さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「おいおいおい早く言えよお前それを!!」

「次何?!」

「数学!1分でも遅れたら欠席扱いだよ」

「ねーちょっとダルいって!!」


京……話し合いの最初の方やけに静かで、おかしいなと思ってたら。

最初からこうやって、私の逃げ場を物理的に塞げるタイミングを待ってたんだな。


完璧すぎるタイムマネジメントに心の中で盛大に舌打ちしつつも、欠席にされるのは御免なので、私は反論を諦め必死に荷物をかき集め始める。


「明頼箸ありがとう!洗って返す!!」

「そのままでいい!!てかなんならしゃぶって返して?!その方が綺麗になる!!」

「キッショ」

「ゴミ集めちゃうんでここ入れてってください!!」

「ありがとねー⭐︎」

「茉白ちゃんコイツも」

「誰がゴミだ」


ガチ焦りの一年生組と、それを他人事みたいに眺めるいつも通りの二年生組。

そんなこんなで結局、罰ゲームに関してまともな反論を挟む隙もないまま、私はドタバタで教室に戻る羽目になった。


この騒ぎに紛れて、私の女装云々の話も有耶無耶になって流れてくれないだろうか。


そんな淡い期待を抱いていた私だったけれど──

世界はそれほど甘くはないのだと、私はその日の放課後、きっちり身をもって思い知ることになる。