そんな騒がしいやり取りの中でも、隣の霞はしばらくの間、じっと私のことだけ眺めていた。
けれど、私が一向に構う気配がないことに気がついたのか──
諦め半分、苛立ち半分といった感じでふいと視線を外し、あっさりとターゲットを別方向にチェンジする。
「ってか、茉白お前そろそろ連絡先教えろよ。インスタでもLINEでもなんでもいいから」
「え?あ〜……」
ポケットからスマホを取り出して、懲りずにナンパし始める霞。
茉白ちゃんは困ったように視線を泳がせている。
──霞の意識が、茉白ちゃんにシフトした。
私がもう動かないと踏んで、油断してるってことだ。こういう時に刺すのが一番効くはず。
そう判断した私は、頬杖をついて、霞の顔を覗き込むようにゆるく微笑んだ。
「──先輩。代わりに俺のインスタ教えてあげましょうか?」
