さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



そんなこんなで私の箸問題が解決したのと同時に、京と霞と夏葉ちゃんのすったもんだもひと段落ついたらしく、三人とも私たちと合流する。


京の誘導なのか、自分で選んだのかは分からないけれど、私の隣に腰を下ろしてきたのは──

九条霞だった。


大人びた甘い香水の香りが、ふわりと鼻腔を甘くくすぐる。

頬杖をつき、横目でじーっとこちらの様子を観察してくる霞。

けれど、私は意地でも視線を合わせない。


理由は二つある。一つ目は、ただ単に気まずすぎるから。

二つ目は──

戦略的に、その方がいいと思ったから。


と、いうのも。

昨日あそこまで攻め込んだ以上、霞はおそらく今も何か仕掛けられると思って身構えてるはずだ。

けど、そういう時こそ敢えてそっけなくした方が、揺さぶりをかけられる。


『相手が期待してる時こそ、絶対攻めないで』って京も言ってた。

だったら、霞の意識が私から逸れるまでは、フルシカトを貫くべきだろう。