さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「俺ちょうど今日スプーンだけ使ってて……良かったら」

「本当?ありが……」

「待て」


何も考えずに受け取ろうとした私の手を制止し、代わりに箸をひったくったのは雪斗。

箸を窓から差し込む光に照らして、多方向から査定するみたいに確認。


そして、数秒後。

軽いため息と共に、改めて箸を私に手渡した。


「大丈夫。今回は舐め回されてない」

「「今回は??」」


陽斗と茉白ちゃんが、揃ってスッ……と明頼から椅子を遠ざけた。

その中心で、「信用ねぇな……」と頬を膨らませる明頼。


あぁ、四次審査が始まる前にそんなこともあったっけ……と遠い目になる。

あの時は、まだ明頼に嫌われようと必死に頑張ってたな。


もしタイムマシンがあったら、あの頃の私の耳元に飛んでいって『時間と労力の無駄だからやめな』って囁いてあげたい。

特に明頼に対しては、暖簾に腕押しもいいところだからって。