「またかよお前早弁をやめろ」
「ってか静かにしてくれる?今それどころじゃないから」
パーカーのフードを被った兄・陽斗の方が、心底鬱陶しそうに言って斜め前の席を指し示す。
そこに座っているのは、この学校一と言っていい権力と人気を誇り、Monet Entertainment看板ボーイズグループのセンターを務める九条霞。
……なのだが、本日の彼からはいつもの天上天下唯我独尊オーラが影も形も見当たらない。
それどころか、まるでキノコでも生えてきそうなレベルの負のオーラを纏って、死体のように机に突っ伏していた。
その手の中には、今日取り戻したらしい最新機種のスマホ。
画面は開きっぱなしで、そこには検索履歴がずらりと並んでいた。
・ゲイ 嫌われる
・ゲイ遺伝子
・突然変異 ゲイ
・LDK
・ゲイの感覚 知恵袋
「なんで途中で部屋探してんの?」
「知らん」
「……嫌だ……自分が男もイケるなんて認めたくねぇ……」
「おいゴミカス、掘られたか?」
「何があったのかは言いたくないってさ」
「もう無視で良いだろ、関わりたくねぇ」
同じ事務所の看板を背負ってきたエース相手に、容赦のかけらも無い三人。
