びっくりするほど滑らかな舌触り、上質で柔らかな餡の甘さ。
これ、絶対にめちゃくちゃ高級なやつじゃん……。
大喜びでおもてなししてくれたにも関わらず即帰宅してごめんなさい、と内心平謝りしつつ、私は「美味しいです」と微笑んだ。
ポカーンと呆気に取られたようにこちらを見つめてくる執事さんに、私は続ける。
「霞先輩、いい人ですよ。ちょっと衝動的なとこもありますけど……ブレないですし、意外と地に足ついてますし。学ぶところが多いです」
この九条霞評は、あながちリップサービスでもなかった。
今日初めて一対一で絡んでみて、なんとなく見えてきた九条霞の人間性。
ただ欲望に忠実なバカなのかと思ってたら、意外と守るべき一線は超えさせない人だなという印象だった。
何度か家のことについて探りを入れようとしても、するっとかわされるし。
特に父親に関する話題には絶対に触れさせてくれない。本当はいつ父親が家に居るのかとか、聞いておきたかったんだけど……。
