さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜




「……どこが余裕あるって?」



ふ、と揶揄うように目を細め見下ろしてくる。


「〜〜……っ!!」


言い返したい言葉はいくらでもあるはずなのに、全部喉の手前で全部溶けて消えてしまった。


顔が、爆発寸前みたいに赤い。


その原因は怒りなのか、羞恥なのか、屈辱なのか──それとももっと別の何かなのか。

分からない。分かりたくもない。


硬直している俺に、千歳はさらに距離を詰めてくる。


ふわ、と鼻腔をくすぐる甘い匂い。

こ、今度は何だよっ……。


身構える俺の背後の背もたれに手をかけて、耳元スレスレに唇を寄せ──


「嫌いな男にもそんな調子じゃ、俺には一生勝てませんね」


そんな挑発を落としてくる。