絶対に日奈子を守ると決めたけれど、日奈子は『トイレに行きたい』と言うことはなかった。

日記の中では学校のトイレで死ぬと書かれているから、我慢するつもりなのかもしれない。

我慢できるのならそれが一番いいし、どうしても学校のトイレを使いたくないのであれば近くのコンビニに行くということもできる。

先生たちにバレたら怒られるだろうけれど、命には変えられない。

そんな日奈子が青ざめた顔で「トイレについてきてほしいんだけど」と言ったのは給食が終わってからだった。

食べ物を食べたことでお腹が動き、さすがに我慢できなくなったみたいだ。
「わかった。瑞穂も一緒についてきて」

私が誘うと瑞穂はすぐに了承してくれた。
3人でトイレに行く様子は日頃からのものだから、別に違和感はない。

だけど3人の間には妙な緊張感が漂っていた。
保人の日記帳のとおりになったらどうしよう。

そんな恐怖心は日奈子から感じられる。
一番近い女子トイレに入ったとき、日奈子が走って手前の個室に入った。

ずっと我慢していたんだろう。
すぐに乙姫の音が聞こえてきた。

「特に変わった感じはないね?」
トイレの中はいたって普通。