ふたつのさくら

……そんなことを考えながら追いかけっこをしていると、咲良さんがやってきた。

「朔羅おはよう!璃奈も!」

あぁ、女神!

僕の頭痛の種であることに変わりはないんだけど、咲良さんはかわいかった。

それだけで全て許せる。

「咲良さん、おはようございます……」

「おはよ、さくちゃん!」

僕の疲れ切った声に気づいたのか、咲良さんが愉快そうに笑いながら近づいてくる。

璃奈さんをみて、僕が疲れている原因がわかったのだろう。

咲良さんでも、僕が人と関わることを意図的に避けていることくらいは分かるだろうから。

「朔羅、お疲れ。」

「もうほんと……疲れます。」

咲良さんは苦笑い、当の本人はきょとんとした顔で首を傾げていた。

璃奈さん、あなたのせいですよ?

その言葉はなんとか飲み込んだ。







咲良さんを間に挟むようにして、3人で並んで歩く。

初めてだ。

咲良さん以外の誰かと登校するのは。

そういえば、咲良さんには、僕以外の友達はいるのだろうか。

誰かと話しているのを見ることはよくある。

事務的な会話じゃなくて、雑談みたいなのをしてるときもあった。

けど、そのときの咲良さん、一瞬だけすごく疲れたような表情をするんだよな。

僕には見せないような、くらーい表情。

ちらりと、隣で璃奈さんと話す咲良さんを見る。

柔らかな笑顔で、楽しそうに会話をしていた。

無理をしているようには見えない。

疲れている様子もない。

僕の気のせい……ならいいんだけど。