ふたつのさくら

「兄さんは、咲良さんに隠していることがあります。それは事実です。」

「そっか……。」

やっぱり、そうなんだ……。

ちょっとした寂しさが胸の中に募る。

「でも、それは決してあなたのことが嫌いだからとか、いじわるしようとか、そういうわけじゃないです。」

そこまで話して、凍夜くんは目を逸らした。

そして悲しそうに言った。

「咲良さん、兄さんが何を隠してても、嫌いにならないでください。あの人は、あなたがいないと生きていけないです。だから……。」

凍夜くんの頭を撫でた。

つまり朔羅は私に嫌われるような何かを隠しているんだ。

嫌われるのが怖いから、何も言わない。

隠したままにしようとする。

でも、あのとき朔羅は言っていた。

『いつか僕が全部話したとき、あなたが全部知ったときは、きっとそうは思えないですよ』って。

凍夜くんも、『今は教えるつもりはない』って。

てことはいつかは教えるつもりがあるってことだ。

それならいいじゃないか。

朔羅が何を隠していたとしても、私が朔羅を嫌いになるなんてありえないから。

「大丈夫。私は朔羅を嫌わない。それに、朔羅がいないと生きていけないのは、私も同じだから。」

そういうと、凍夜くんは嬉しそうに、安心したように笑って、大きく頷いた。

「ありがとうごさいます!」