ふたつのさくら

「凍夜くん、ちょっとお返事書いてくるから待っててくれる?」

手紙を読み終わったらしいお母さまが言った。

「あ、はい。分かりました。」

凍夜くんが返事したのを確認すると、お母さまは部屋を出て行ってしまった。

部屋には2人だけになった。

「ねぇ凍夜くん。ほんとに条件知らないの?」

ダメ元で聞いてみる。

条件が分からなかったら開けようがないじゃない!

朔羅ったら、そんなこともわかんないの?

凍夜くんは落ち着いた様子で答えた。

「本当に知らないですよ。それに、もし知ってたとしても、教えることはできません。兄さんの頼みですから。」

んー、そうかー。

確か凍夜くんと朔羅って、仲良かったよねー。

例え婚約者であっても、兄弟の秘密を教えることはできない!

ってことなのかな?

もう一度封筒をよくみる。

見た目では何の細工もされていないように見えるけど、開けようとすると、やっぱり開かなかった。

「あ、じゃあさ、これがなんで開かないかはわかる?なんか仕掛けみたいなやつ。」

どういう原理で開かないのかが分かれば、自分で開けることができるかもしれない!

そう思って聞いてみた。

凍夜くんは、「あー」と天井を見上げて、何かをぶつぶつと言っている。

なんか……まずいこと聞いた?

「凍夜、くん?」

声をかけるとガバッと戻ってきて、真剣な顔つきで話し始めた。

「咲良さん、俺は、それを知られることを兄さんは望まないと思っています。少なくとも、今は教えるつもりはない、ということですね。」

「……それって、朔羅がなにか隠してるってこと?」

この前のデートのときも、そんな感じのこと言ってたし、やっぱり隠し事があるのかな?

別にそれが悪いとは言わないけど、なんか悲しい……。

凍夜くんは何かを考えるそぶりをして、静かに口を開いた。

「……この際はっきりさせておきましょう。」

「……」

そう言った凍夜くんの顔は、朔羅にそっくりだった。

さすが、兄弟だなぁ、と思う今日この頃。