ふたつのさくら

体育館シューズを持って並んで移動した。

入学式……というか始業式みたいな感覚で式は終わる。

途中途中のお偉いさんの言葉は……何も覚えてない。

決して寝てたわけじゃないので悪しからず。

言い訳させてもらうと、並び順が悪いんだ!

出席番号順なんだけど、後ろから1番で並んでて、1番前に出席番号最後の咲良さんがいるんだけど。

咲良さんがかわいくて……。

見惚れてました。はい。すいません。

今日はそれだけで下校になった。

また明日、クラス内の係や委員会を決めるらしい。

帰り支度をして、咲良さんと教室を出ようとすると岡崎先生に呼ばれた。

「徒野、ちょっといいか?」

「……はい。咲良さん、ちょっと待っててください。」

悲しそうな顔をした咲良さんの頭を撫でながら言う。

「わかった。」

すぐに嬉しそうな顔になって、そう答えてくれた。

岡崎先生について行った先は相談室だった。

え?僕何されるの?

初日から呼び出し、それも相談室って、僕無意識に誰かのこと泣かせてた??

怖いんですけど?

部屋に入り、椅子に座るように言われる。

岡崎先生も僕の対面に座った。

……のはいいんだけど、岡崎先生は何も話し出そうとしない。

それどころか、どこか気まずそうに目を逸らすだけだった。

「……先生、何言ってもらっても大丈夫ですよ。僕、そんなにメンタル雑魚じゃないんで。」

咲良さんならまだしも、それ以外の人になんと言われようと受け流す自信がある。

僕がそう促すと、先生は覚悟を決めたように僕の方を向いた。

「……わかった。とりあえず今から言うことは俺の愚痴だと思って聞いてくれ。」

……愚痴?

そう前置きすると、岡崎先生はまた何処かを向いて話し始めた。

今度は悲しそうな顔をしていた。