ふたつのさくら

そういえば咲良さんにプレゼントもらったんだった。

まだ確認していないから、見てみようと思って目を開けると、目の前に凍夜の顔があった。

「……凍夜、どうしたの?」

起き上がりながら聞く。

苦しさはだいぶ治まっていた。

凍夜はなぜかすごく悲しそうな顔をしていた。

そしてその顔と同じように、すごく悲しそうな声で言った。

「兄さん……泣いてる……?」

「……」

言われて顔をさわれば、確かに濡れていた。

布団で乱暴に拭いて、凍夜に笑顔を向ける。

「大丈夫。なんともないから。」

凍夜は納得してないようだったが、何か聞いてくることはなかった。

僕は立ち上がりカバンを探す。

の前に、部屋が暗いから電気をつけた。

「う……兄さん、眩しい。」

「ごめんごめん。暗かったから。」

電気をつけたことにより、見にくかった周囲の様子を確認できた。

僕が持っていったカバンは机の上に置いてあり、服は着替えさせられていた。

菖蒲か……。

あとは、枕元にある短刀と、凍夜の手に巻かれた包帯……。

「……凍夜、手見せて。」

いつもは置いていないはずのそこに、それがあるってことは使ったってことだ。

全然覚えていないけど、また切ろうとしたんだろう。

今でもたまにある。

意識のない状態で短刀を取り出して、それを自分の腕に向けることが。

そういうときは、さっくりやって正気に戻るか、何も起きないうちに誰かが止めて、ことなきを得るか。

今回、僕の腕に傷はない。

てことは誰かが止めてくれたんだ。

菖蒲だったら起きるまでここにいるはずだし、短刀を出しっぱにしておくなんてことしない。

先代はここまで来れないし、母親はこの状態の僕には会えない。

だったら残ってるのはこいつだけだ。

その手の怪我、切り傷なんじゃないの?