ふたつのさくら

僕と咲良さんは起き上がり、座り直す。

僕は今一度頭を下げて、渡貫当主に言った。

「お見苦しいところをお見せしたこと、お許しください。」

渡貫当主も座り直し、返事をした。

「……いえ。それで、返事はどうかしら?」

優しく聞いてきた。

さっきの言葉は無かったことになってるらしい。

ありがたい反面、申し訳ない。

「……その話、受けさせていただきます。」

「……わかりました。咲良。」

渡貫当主は咲良さんを呼んだ。

咲良さんはこの期に及んでまだ状況が理解できていないようで、頭にはてなをいっぱい浮かべながら、そちらへ行った。

僕も顔を上げて、咲良さんが当主さまの横に座ったのを確認してから立ち上がる。

そして咲良さんの前に座り、頭を下げた。

「本日より、あなた様の婚約者となりました、徒野朔羅と申します。よろしくお願いいたします。」

それだけ言って頭を上げる。

咲良さんはポカンとした顔でフリーズした後、頬を真っ赤に染めた。

そして慌てて頭を下げて、言った。

「わ、渡貫咲良でしゅ!よろしくお願いします!」

噛んでるし。

そういうところも、かわいい。