ふたつのさくら

……僕らの教室は校舎の1階、中庭の真横にあった。

教室に入り、中にいる面々を確認する。

去年までと大して変わらないな。

まぁ、それも仕方のないことだ。

海琳学園は特別何かができるってわけでもないし、偏差値も高いわけじゃない。

部活が盛んなわけでもなければ、行事も力を入れてるわけじゃない。

良くも悪くも何の特徴もない、平凡な学校なのだ。

高校入学から新しく入ってくる外部の人なんて、1年に1人いるかいないかくらい。

それに立地条件が非常に悪い。

コンビニもないような田舎の町、それも丘の上にあるんだから、お察しだ。

僕と咲良さんがそれぞれ自分の席に着き、荷物をまとめたところでチャイムが鳴った。

すぐに教師が入ってくる。

「はーい、席つけー。出席取るぞー。」

そう言って教卓の前に立ったのは、僕らの担任教師である岡崎祥司先生だ。

ん?岡崎先生?

「せんせー、先生は中等部の先生じゃないんすか?」

そう、この先生、僕らの中3の時の担任教師なのだ。

あれ?僕ら今日から高校生だよね?

いくら中高一貫だからって、中等部から高等部に教師が持ち上がることはないよな?

岡崎先生がため息をつきながら答えた。

「はぁ……だから嫌だったんだよ。俺は、もともと高校の教師!教員足りないからって理由で1年だけ中学を見てたの!」

その言葉に教室がどよめいた。

今どきそんなことあるんだ……。

「まあ、気を取り直して。出席!徒野朔羅!」

「はい。」

先生が順番に名前を呼び、返事をする。

「……ラスト渡貫咲良!」

「はーい。」

「よし。全員いるな。」

先生はそう言うが、教室には誰も座っていない机が1つあった。

「先生、あそこ空いてますよ?」

咲良さんが言った。

すると先生は「ああ、」と話し出した。

「1人外部から来る子がいるんだよ。だけど体調良くないらしくてな。しばらくは来れないらしい。」

へー、そうなんだ。

ようこそ、こんな田舎の学校までいらっしゃいました。

「てなわけで、今から体育館で入学式やるから。移動しろよー。」

てなわけがどんなわけかわからないけど、先生はそれだけ言って教室を出て行ってしまった。