ふたつのさくら

次の週は少しだけ教室に行った。

朝の時間だけとか、放課後少しだけとか。

金曜日、1時間目を教室で受けてみた。

30分程度は問題なかった。

だけどそれ以降、周りの子が、咲良さんが、だんだんと食べ物にしか見えなくなってきた。

それに伴って大きくなる荒れ狂う感覚。

席を立った。

あらかじめ僕の席は1番後ろの1番廊下側になっていたから、そのまま教室を出た。

教師には事情を説明してある。

だから何も問題ない。

とにかく人気のない場所。

体育館裏だ。

ここに向かったのには、理由がある。

壁に寄りかかって、暴れないように耐えていると、人がやってきた。

菖蒲だ。

「だめだった?」

無言で頷く。

声なんて、出せる状況じゃない。

「そっか。」

ただ、隣に立っている。

「……ゆっくり慣れていこうな。」

また頷いた。







……そうやって、少しずつ、少しずつ教室にいる時間を増やしていって、6月半ば、やっと1日中教室にいれるようになった。