ふたつのさくら

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朔羅に言われて、上着を被ってじっと待つ。

耳を塞いでいても、衝撃音は嫌にはっきりと聞こえてきた。

3、4回大きな音が鳴ったあと、静かになった。

でも怖くて、上着を取って様子を見ることはできなかった。

ただうずくまって、震えていることしかできなかった。

しばらくその状態で待っていると、目の前に誰かが来た気配がして、上着が剥がされる。

そしてすぐに抱きすくめられた。

「ごめんなさい。僕が離れなければ、よかったですね。」

耳元で、囁くように言われる。

後悔と、恐怖と、ほんの少しの悲しさが混ざったような声だった。

涙が溢れてくる。

「……朔羅ぁ、怖かったぁ……。」

朔羅に抱きつく。

「はい……僕も、怖かったです。ごめんなさい。守れなくて……。」

私は首を振った。

違う、朔羅のせいじゃない。

私が勝手に離れちゃったから……。

そう言いたいのに、出てくるのは嗚咽ばかりで、何も言うことができなかった。

朔羅が背中をさすってくれた。

優しくて、あったかくて、すごく安心した。

「もう、大丈夫ですよ。僕がいますから。今度こそ、ちゃんと守りますから。」

朔羅の力が少し強くなった。

「……だから、笑って?」

消えそうな声で、朔羅は言う。

私は顔をあげて笑った。

「うん……!」

朔羅の紅い瞳が、美しかった。




「よし、歩けますか?」

朔羅が私の手を引いて立ち上がる。

私も続いて立ちあがるけど、足が震えて生まれたての子鹿みたいになっていた。

その様子を見て、朔羅は微笑んだ。

「分かりました。」

そう言ったかと思うと、朔羅は私の膝に手を入れて、そのまま持ち上げた。

「ちょ!朔羅!?」

驚いて声を上げると、朔羅はとびっきりの笑顔で言ってきた。

「いいじゃないですか。この前僕がされてるの、見たでしょ?」

いや、あれは不可抗力……。

ってそれとこれとは関係なくない?!

「それに、この人たちも何とかしてもらわないといけないので、とりあえず行きますよ。」

「……はい。」

大人しくお姫様抱っこされます。