ふたつのさくら

そのあと、朔羅を探そうと店の外に出て彷徨っていると、後ろから知らない人に声をかけられた。

「お嬢さん、今、おひとりですか?」

振り向いて声の主を確認する。

朔羅より背が高いくらいで、金髪の男性、たち。

言葉は丁寧だけど、見るからにチャラくて、20歳は超えてそうな4、5人の男性に囲まれていた。

私知ってる!

これ、「ナンパ」ってヤツだ!

海とかに行くと、ナイスバデーのおねーさんがされるとかいうあの!

自分がされるなんて思ってなかった。

……私、胸ないし。

あ、なんか自分で思って悲しくなってきた。

……とりあえず!

ナンパってどうやって対処したらいいの?

え?てかさ、周りに助け求めりゃいいんじゃね?

ここ百貨店の中ぞ?

と思ったけど、いつの間にか人通りのない非常階段の入り口に来ておりました!

わお、脅威の方向音痴!

朔羅はいない、助けを求められる人もいない。

自分でなんとかするしかないじゃーん!

よし、やるのよ渡貫咲良。

あなたはやればできる子!

えっと、「いまひとり?」って聞かれたよね?

多分弱気になっちゃだめだ。

強気でいこう!

……と思うまでの間わずか0.2秒。

その結果、出てきたのはものすごく頼りない声だった。

「……違います。」

「ほんとですか?周りに誰も見えませんけど。」

男たちはわざとらしく周りを見渡して言う。

「すいません、急いでるので……。」

言いながらその場を離れるために、後ろの非常階段の扉を開けようとする。

しかし、腕を掴まれて扉に押しつけられた。

「いたっ……」

間近に男の顔がある。

「ねぇお嬢さん。お兄さんたちと遊びに行かない?」

「ひっ……」

人当たりのいい笑顔で男は言う。

でも、その瞳の奥には飢えた獣のような、危ない光が灯っていた。

「いや……」

怖い。

「そんなこと言わないでよ。いいじゃん。きっと楽しいよ?」

「いや、です……」

怖い……。

「ほら、こっちおいでよ。」

無理矢理引っ張られる。

「いた……やめて……助けて、朔羅……!」

「あー、やっと見つけた。」