ふたつのさくら

「朔羅、雑貨屋さん行こ!」

機嫌を直して、朔羅の方を向きながら言った。

そのときにはもう、朔羅の顔から悲しい影は消えていて、楽しそうだった。

「わかりました。確か旧館にできたので、向こうですね。」

朔羅に手を引かれて、雑貨屋に向かった。

最近、といっても先月だけど、出来たばかりのその雑貨屋はおしゃれだった。

ボールペンや消しゴムなどの文房具や、アクリルケースなどの小型の収納家具、鉢やじょうろといった園芸用品まで。

様々な種類の商品が、シンプルなものから豪華なものまで、数多く並んでいた。

やばい、見てるだけでもちょー楽しい。

「何か欲しいものでもあるんですか?」

朔羅が周りを見ながら聞いてくる。

「特にこれっていうのがあるわけじゃないよ。気に入ったら買うかもだけど。」

「ふーん……。」

聞いといてそっけない返事。

まぁいいか、朔羅だし。

近くでボールペンを眺めている朔羅を置いて、アクセサリーコーナーに向かった。

ちょっとくらい、いいよね……?

「あ、かわいい……。」

髪留めだ。

白とグレーのマーブル模様のシュシュ。

うーん、可愛いんだけど、伸ばすの嫌なんだよな……。

なんとかつけれないかと考えてみるけど、無理そう。

ヘアアクセは諦めて、ネックレスや、ピアスが置いてある方に向かった。

ゴールドやシルバーが多くて、キラキラしてる。

あんまり豪華なのはちょっと……。

できるだけシンプルなデザインのものを手に取って見てみる。

「んー……ちょっと違う気がするんだよなー。」

どれも綺麗で素敵なんだけど、あんまりピンとこない。

しばらく眺めて、朔羅のところに戻ろうとしたとき、一対のネックレスが目についた。

ゴールドのチェーンに、桜の飾りがついている。

桜の中心にはそれぞれピンクと水色の石が嵌め込まれていて、かわいらしさと上品さが両立していた。

「これ、いいかも。」

私はその2本を手に取って、よく見てみた。

「……朔羅、喜んでくれるかな?」

たまにはお揃いとか、よくない?

男がつけるにはちょっと抵抗のあるデザインかもしれないけど、どうだろ?

……断られたら日替わりでつければいっか。

私はその2本のネックレスを持って、レジに行った。

水色の石の方を、プレゼント用に包んでもらって、お会計を済ます。

朔羅にあげる方だけをカバンに入れて、自分用に買ったピンクの方は首にかける。

変じゃないよね?

……よし。