ふたつのさくら

まず当たり前に人。

街だから、人通りも多くて、とても賑わっている。

何人か、こっちを見て顔を赤くしていたり、あからさまに残念そうな顔をしていたりする人がいた。

次に街路樹。

多分、緑化活動的な何かとか、街の雰囲気作りとかのために植えているのだろう。

その近くにはたくさんのハトが飛んだり歩いたりしていた。

そして、妖怪。

妖怪?!

って思ったそこのあなた!

そうなんですよ、昼でも妖怪って出るんですよねー。

私たちが住む町は、徒野の本家があるからかあまり妖怪が寄り付かなくて、見ることはほとんどない。

だからちょっと新鮮だ。

……っとそれはよくて。

朔羅はその妖怪たちに、特に鋭い視線を向けていた。

妖怪たちは、その視線に気づくと一瞬ビクッとして、姿を消していった。

妖怪ってほんとに怖いの……?

「うわー、朔羅こわーい。」

「感情こもってないですね。」

いや、それが自分に向くことは無いって分かってるからね。

「さ、これで牽制も済みましたし、行きましょうか。」

朔羅はにこりと笑って言って、歩き出す。

私も足を出し、朔羅に声をかけた。

「ねぇ朔羅、そのままなの?」

牽制は済んだって言ったのに、朔羅の手は私の肩に乗ったままだ。

あの、距離が近くて、なんか、恥ずかしい……。

朔羅は足を止めた。

「嫌ですか?」

悲しそうな顔で聞いてくる。

「……嫌ってわけじゃ無いけど、あの……そう!歩きにくくない?」

素直になれない!

「だからほら、こっち!」

言いながら、朔羅の腕を私の肩から外して、手を握った。

恋人繋ぎってやつだ。

「これのがよくない?」

朔羅は呆けたような顔になった。

私の顔と繋がれた手を交互に見て、顔を真っ赤にする。

そして、それを見せないようにもう片方の手で顔を覆いながら小さな声で言った。

「……はい。」

その反応に、今さら自分も恥ずかしくなった。

あ〜やってしまった〜!

朔羅との婚約が決まってもう8年くらい経つけど、恋人繋ぎなんて初めて!

え?初めて?!

8年間一度もしたことがなかったの?!

まじで?!

……よし。

これからはリア充してこ。