ふたつのさくら

朔羅は私の手を引いてゆっくりと歩く。

歩幅を合わせてくれてるのだ。

5分ほど歩いて、やっと知ってる道に出てきた。

「あ!朔羅、こっからはわかる!」

「ほんとですか?じゃあ案内してください。」

役割を交代して、今度は私が朔羅の手を引いて歩く。

3分ほどで目的の駅に着いた。

「えーっと、下り方面なので向こうのホームですね。渡りましょうか。」

いつもと違う方向なんだ。

「はーい。」

なんか、幼稚園児と引率の先生みたい……。

完璧に私が世間知らずなのが悪いんだけど、ちょっと複雑……。

電車はすぐにやってきた。

整理券を取って電車に乗り、長椅子に腰掛ける。

土曜日の9時過ぎの電車は、混雑しているわけでもなく、かといって空いているわけでもなく……。

適度に騒がしい空間だった。

窓の外は田園風景から森に入り、トンネルを抜けた先はたくさんの建物が並ぶ街に入っていた。

私は移り変わる景色を眺め、朔羅はそんな私を楽しそうに見ていた。

30分ほど電車に乗り、目的の駅に到着した。

ここは無人駅じゃないから、降りてから料金を支払う。

改札を出て都会の街に降り立った。

「朔羅!こっちも建物いっぱいだね!」

ここでも世間知らずが露呈しています。

「そうですね。危ないから離れちゃダメですよ?」

朔羅は優しくそう言いながら、手を差し出した。

私はそれを掴んで、朔羅の隣を歩く。

でも朔羅はすぐに手を離して、肩を抱くようにして、私を引き寄せた。

「朔羅?」

「ん?所有権を主張しようと思って。」

ふわりとした笑顔で言っているが、周りを見る目は鋭かった。

朔羅の視線につられて周囲を見れば、いろんなものを視ることができた。