ふたつのさくら

……2人で渡貫の家を出て電車の駅に向かい歩く。

「朔羅、今日はどこ行くの?」

そういえば決めてなかったなーと思って聞いてみた。

朔羅は少し考えて、同じことを聞いてきた。

「うーん……どこ行きたいです?せっかくなら咲良さんの行きたいところに行きましょう?」

限られた条件でしか外出できない私を気遣ってのことだろう。

どこがいいかなぁ。

「……そうだ!朔羅の仕事場行きたい!」

言った瞬間、朔羅の表情が曇った。

「咲良さん、それは出来ません。僕の仕事場は場所じゃなくて、『夜』という時間ですから。」

まぁ分かっていたことだ。

妖怪を退治する現場に、妖怪の餌となる私が行っていいわけがない。

足手纏いになるだけだ。

でもなぁ。

「でも、一度でいいから、かっこいい朔羅も見てみたいなー?」

上目遣いで頼んでみる。

決していつもの朔羅がかっこよくないって言ってるんじゃなくて、ただいつもと違う朔羅を見てみたいだけだ。

それに、どうやって妖怪を祓うのかも気になる。

朔羅は空を見上げて悶絶していた。

「っ〜〜いや!でもダメです。そんなことしたら僕が殺されちゃいます。咲良さんはそれで良いんですか?」

う〜あとちょっとだったな〜。

それに朔羅がいなくなるのは嫌だし。

「朔羅が死ぬなら私も死ぬから。」

「過激ですね。」

……朔羅も同じこと思ってるくせに。

冗談混じりで言ってはいるけど、その言葉に嘘はない。

朔羅がいない世界に生きてる意味なんてない。

もし朔羅が仕事中や事故で命を落とすようなことがあれば、私はすぐに後を追うつもりでいる。

渡貫の跡取り?

知るか!勝手に騒いどけ!

「……でもそんなの嫌だし。今日は別のとこ行こ!」

「はい、そうしてください。」