ふたつのさくら

――――――――――――

……土曜日。

今日は朔羅が町の外に連れてってくれる日。

本当は始業式の日の帰りに連れてってもらおうと思っていたけど、朔羅に予定が入っちゃったから今日になった。

しょうがない。

朔羅は忙しいから。

私は生まれつき霊力が強くて、あまり外に出られなかったから、こうやって朔羅と出かけられるのがとっても楽しみなんだー。

なんで霊力が強いと外に出れないのかって?

妖怪に襲われるから、らしいよ。

特に夜は妖怪の時間で、妖怪の力が強くなるから絶対に出歩いちゃいけないって。

正直よく分からない。

実際に襲われたことがないってのもあると思うけど、基本的にみんな過保護すぎると思うんだよなー。

私はそんなに弱くない!

って思うけど朔羅から見ると弱っちぃんだろうなぁ。

……まぁそんなことはどうでもよくて。

朔羅と二人で出かけるっていうことはつまり、朔羅とデートするってことである!

せっかくデートするならかわいいって言われたい!

というわけで、ちょっと気合い入れてみた。(当社比)

今日の私の服装はこちら!

白いワンピース。

桜のピン。

あとは顔にうっすらと化粧をしてある。

以上。

……しょうがないじゃん!

いつも学校帰りで制服で行くことが多いからおしゃれとかわかんない!

「ねぇ奏美、変じゃない?大丈夫?」

姿見を見ながら近くに控えている奏美に声をかける。

もうこれを聞くのは4回目だ。

奏美は前の3回と全く変わらない返事をした。

「何も変じゃないですよ、お嬢様。」

そして今度は別の言葉を付け足した。

「そんなに心配なら朔羅さまが来たときに直接お聞きになればよろしいかと。」

そうは言うけどさぁ……。

「聞いて、否定されたら……いやじゃん。」

「……お嬢様、あなた、頭悪いんですか?」

時々毒舌な奏美である。

「あれだけお嬢様のことが好きな朔羅さまが、お嬢様を悪く言うことがあると思いますか?」

「思わない……けど……。」

それでも心配なの!

「ですよね?仮にもし、あの男がそういうことを言うなら僕が不能にします。」

「え?ちょっと奏美怖い!」

たまに、主に朔羅に対して過激な奏美である。

朔羅のこと、嫌いなの……?

てか不能って何?!

奏美くん、どこでそんな言葉覚えてくるの?!