ふたつのさくら

……何もない、真っ白な空間。

僕はそこに横になっていた。

起き上がって辺りを見回す。

少し遠くに、誰かが倒れているのが見えた。

立ち上がる。

体の不調は少しもなく、ずっと感じていた頭痛も、怠さも、嘘のように消えていた。

歩いて近づけば、そこで倒れているのはあの子だった。

寝てるだけのように見えた。

隣に座って頭を撫でる。

傷ひとつない、綺麗な体をしていた。

くすぐったかったのか、咲良さんは身を捩って逃げようとした。

……わけじゃなかった。

体を動かして僕の方に寄せ、頭を足に乗せてくる。

かわいい。

けど、それ、起きてるでしょ。

両手で僕の手を握って、自分の頭に乗せた。

撫でて欲しいのかな?

優しく、優しく、丁寧に撫でる。

幸せそうな顔をしていた。

「……咲良さん、ちょっといいですか?」

少しだけ頭を持ち上げて、足の代わりに腕を入れる。

こっちの方が柔らかいし、頭痛くならないでしょ?

そして咲良さんの真横に寝転がり、頭を抱くようにして撫でた。

咲良さんの瞼が上がる。

自然と目が合った。

「おはようございます、咲良さん。」

「……おはよう!朔羅!」

花が開くようにふわりと笑う。

それだけで僕は幸せだ。

ずっとずっと、幸せだ……。

あなたは、幸せですか……?








いつまでも、幸せな夢を……

……おわり