ふたつのさくら

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……僕は目の前の惨状に気づいた。

いや、ずっと見ていた。

いや、ずっと、やっていた。

「ぁ……」

……嘘だ。

嘘だ。

嘘だ、嫌だ嘘だ嘘だ!

なあ?そうだよな?

こんなのありえないよなあ?!

誰か嘘だって言ってくれよ!!!

なあ!!?!

「あああああああああああ!!!!」

咲良さんは壊れていた。

ご丁寧に顔は綺麗なまま残して。

誰がこんなことしたんだ?

誰が壊したんだ??

誰がころしたんだ??!?!

僕だろ!!!

刀を手に取った。

喉や首は駄目。

心臓も、鳩尾も駄目。

腕や足も、死に切れない。

腹だ。

腹に突き立てて、真横に引き抜く。

痛みは感じなかった。

ただ血が流れる感覚だけが、ずっと残っていた。

刀を抜いて、隣に落とす。

「…………」を、抱きしめた。

涙は、出なかった。