ふたつのさくら

――――――――――――

さーて、この子はどこに本体があるのかな?

人間って魂の場所が人によって違うから、ちょっと大変なんだよなー。

まあ、その分美味いからいいけど。

胸に刺さった刀を引き抜いた。

それをそのまま喉に突き立てて、真横に動かす。

この腕のやつ、ギプスって言うの?邪魔だなぁ……。

外すか。

えーとどこから……あーここだここだ。

結び目を解いて、ギプスを放り投げる。

ついでだから、腕についた包帯の塊も、刀で切り裂いて外しておいた。

この刀、切れ味良すぎ。

ちゃんと手入れが行き届いてんだな。

それから何度か首に刀を突き立てて、胴体から切り離す。

ここじゃないな……。

次は左肩に刀を刺した。

同じようにぐちゃぐちゃと何度も刺して、腕を切り離す。

指先から順にかぶりついた。

柔らかい肉と硬い骨。

それだけでも十分おいしかった。

だけど、

「ないねぇ……」

右腕、右足、左足と、順番に食べ進める。

どこにも本体である魂は見つからなかった。

おかしいなー、普通の人間ならこの辺にあるものだと思ってたけど……。

この子は普通じゃないのか。

もしかして、もしかする?

それなら本体がなくてもこんなに美味しいのに納得できる。

どうせなら全部食べ尽くそうか。

腹に刀を深く突き立てた。

そのまま横一文字に動かし、中身を外に引き摺り出す。

どれも健康的な色をしていた。

予想通り、魂はない。

期待が膨らむ。

魂なんてなくてもこんなに美味しいんだ。

魂が入っていたら……どれだけ美味いのか。

想像するだけで涎が出てくるな。