ふたつのさくら

そして私に背を向けた。

這うようにしてどこかへと向かう。

その先にはさっき左手首に突き立てていた刀があった。

急いで立ち上がり、朔羅より先にそれを掴む。

「っ、咲良さん……それ、ください……」

「やだ。」

渡すわけないでしょ。

「朔羅はこれで何するつもりなの?」

「……何も……危ない、から……返して……」

目を逸らして、さっきよりもさらに小さい声で言った。

何もなんて嘘だ。

『全部僕が持っていきます。』

漢字はどれ?

生きる?行く?

……逝く?

私はその刀を自分の胸に向けた。

「バッ!咲良さ……何を……」

「朔羅、正直に話して。これで何をするの?」

朔羅は答えない。

刀を握る手に力が入る。

「……死ぬの?」

「………………はい。」

「っ!!!」

……そう。

そうなんだ。

朔羅、死ぬんだ。

私を置いて?

1人で、向こうの世界に行くの?

そんなこと、させないよ?