ふたつのさくら

……永遠に続くと思われたその行為は、意外にもあっさりと終わった。

朔羅が顔を離し、口元を拭ってくてる。

目を開ければ、満足そうな顔で微笑む朔羅が見えた。

でもそれは一瞬で、すぐに力が抜けたように横に倒れ込んだ。

「朔羅……?朔羅!!」

顔色が悪く、体は熱かった。

今にも死にそうなのに、朔羅は少し笑って口を開いた。

「も……どこでも、行けますよ……好きなとこ……よう、かいには……襲われ、ませ……」

妖怪に襲われない?

体に特に変わったところはないけど……。

「僕、が……できるのは……このくらい、だから……ぜ、ぶ……僕が、持って、逝きます……」

朔羅は一度抱きついてきて、体を離してから再び口を開いた。

「ねぇ、咲良、さん……最期の……おね、がい……聞いてくれ、ますか……?」

「え?うん……」

言葉の意味もよく考えずに返事する。

朔羅はそれを聞いて、嬉しそうに笑って言った。

「……笑って?」

……笑って?笑う?それでいいの?

「こ、これで、いい……?」

顔の筋肉を動かして、笑顔を作る。

上手くできた気がしない。

だけど朔羅は、今までで1番幸せそうな笑顔で、愛しい者だけに向ける蕩けるような笑顔で、こう言った。





「かわい……!」