ふたつのさくら

「……なんで……」

……朔羅が来た。

「朔羅……」

朔羅は私を見ると、驚いたように目を見開き、悲しそうに顔を歪めた。

そして深呼吸をして、次に私を見たときには、何かの覚悟を決めた様子だった。

朔羅は歩きながら、手に持っていた短い刀を抜く。

鞘を投げ捨て、その刃をリストバンドの上から左手首に向かって振り下ろした。

「っ?!」

咄嗟に目を閉じる。

「いったー……」

目の前からそんな声が聞こえて、足音が止まる。

目を開ければ、左手を隠すように膝をついている朔羅がいた。

「咲良さん、本当にすいません。」

「んっ?!」

朔羅がそう言ったかと思うと、いきなり唇を重ねてきた。

あまりに急な出来事に抵抗もできず、頭が真っ白になる。

そのまま押し倒された。

一拍間をおいて、状況を理解する。

「ふぅ、んんっ!!」

逃げようと身を捩るが、右腕でガッチリと頭を抱えられていて、逃げることができなかった。

朔羅だから怖くないはずなのに、すごく怖くて、涙が出てくる。

朔羅が少し離れた。

薄く目を開ける。

朔羅は苦しそうな顔をしていた。

「ごめんなさい……でも大丈夫だから……ちょっとだけ、少しだけ我慢して……」

泣きそうな声でそう言って、また唇を重ねてきた。

体の力を抜いた。

怖いけど、朔羅が大丈夫って言うなら、大丈夫なんだろう。

朔羅にもそれがわかったのか、力を抜いて、舌を口の中まで伸ばしてくる。

「っ?!」

待って!朔羅、何してるの?!

抵抗はできない。

舌と舌が絡まり、歯の裏や頬の裏、喉の奥に至るまで、口の中全体を貪るように犯され続けた。

徐々に何も考えられなくなる。

体に力が入らなくなって、ふわふわしてて、されるがままになっていた。