ふたつのさくら

……教室に入り、荷物を置いてすぐに教室を出る。

向かうのは職員室だ。

入り口で席を確認し、そこに向かう。

「おはようございます、岡崎先生。少しお話よろしいでしょうか。」

急に後ろから声をかけたからか、先生は驚いたような顔をして振り向いた。

「あぁ、徒野。おはよう。なんだ?話って。」

「ここでは話せないことなので、場所を移せませんか?」

僕が人に聞かれたくないのもあるし、きっと先生だって他の教員には知られたくないだろう。

それでなんの話か想像できたのか、先生は席を立った。

「分かった。」

先生について行き、昨日と同じ相談室にやってきた。

中に誰もいないこと、周囲に人がいないことを確認して、僕は話し出した。

「その後、様子はどうですか?」

もちろん、先生の姪御様のことだ。

妖怪を剥がせはしたけど、魂がどれだけ傷ついているかは分からない。

だからこうして、様子を聞くのだ。

「安定してるよ。熱もだんだん下がってきて、今朝は6度後半くらいだった。会話もできるし、自分で動くこともできる。」

よかった。

日常に戻ることができそうで、安心した。

「本当にありがとう。」

岡崎先生は泣きそうな顔で言った。

「……いえ。元気そうでよかったです。」

さてと、ここからが本題だ。

「それで、なんですけど、僕から注意とお願いがひとつずつあります。」

「……?」

岡崎先生は頭にはてなを浮かべて、首を傾げていた。

ほら、昨日何も言わずに帰っちゃって、言っとかないと危ないからね。