ふたつのさくら

そんな小さな願いも叶えられなくてごめんなさい。

『生きる』なんていう当たり前のことができなくてごめんなさい。

そんな弱い人間でごめんなさい。

あなたの人生にいて、ごめんなさい……。

でも僕は、あなたに出会えてよかった。





僕は泣いた。

通話を切ることもせず、声を上げて、みっともなく、子供みたいに泣きじゃくった。

微かに咲良さんの声が聞こえる。

『朔羅、大丈夫だから。』

優しくて、安心する声だった。

『辛かったら、そうやって泣いていいんだよ?』

その声に、その言葉に、さらに泣けてくる。

もう直接は聞けない。

こんな機械越しでしか、聞くことができない。

だって僕は妖怪だから。

直接会ったが最後、あなたを殺して喰らう、バケモノに成り下がってしまうから。

咲良さんはずっと大丈夫だと言ってくれた。

なにが、どう大丈夫なのかは全くわからないが、咲良さんが言ってるってだけで、大丈夫だと思えた。