ふたつのさくら

『朔羅、どう?』

「何考えてんですか!!ダメに決まってるでしょ!!」

咲良さんは楽しそうに笑った。

そして呑気に言った。

『朔羅、必死だね』

「必死にもなりますよ!なんでそうなるんですか!!やめてください!冗談でも、そんなこと……言わないで……!!」

泣いていた。

「海にも、遊園地にも、動物園にも連れてくから……星も、見せてあげるから、だから!!」

溢れ出る涙を拭おうとは思わなかった。

「だから、そのときは隣で……」

『ふふっ、一緒には行ってくれるんだね。』

「っ……!」

……言われて気がついた。

なんで一緒に行く前提なんだよ。

どんなに頑張っても、僕は無理だ。

「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……!嘘です……できないです……!あなたの望みを、叶えてあげられない……!」

『えー』

残念そうというよりは、楽しそうだった。

「ごめんなさい……でも僕は、あなたに生きててほしいから……!自由に生きてほしいから……!!」

願うだけで、何もできない。

唯一できたかもしれない、咲良さんの霊力を弱める方法も、会わないとできない。

でも僕はもう、あなたに会えない。

『朔羅』

「……」

咲良さんが落ち着いた声で話しかけてくる。

『なにもしてくれなくていいよ。叶えてくれなくていいよ。ただ生きててくれれば、それでいいよ。』

「……っ、ごめん、なさい……」