ふたつのさくら

……逃げるって、どこにだよ。

どうやって、なんで!

無視しとけばいいのに、指は勝手に文字を打っていた。

『もう関わるなって、言いましたよね?』

送ってすぐに既読がつく。

また自己嫌悪。

なんでこんな言い方しかできないんだよ……。

悪いのは全部自分なのに、他の人に当たって。

八つ当たりもいい加減にしろよ!

『そうだね』

咲良さんから返事が来る。

『でも私は、朔羅と一緒にいたい』

『朔羅は違うの?』

一緒にいたいに決まってるだろ!

なんで僕に構うわけ?

もうやめてくれ。

僕のことなんて忘れて、ただ笑っててよ。

それだけで僕は満足するから。

『はい』

『さっきも言ったように、僕はあなたとはもう、関わりたくない』

思ってることと、やってることのチグハグさに、頭がおかしくなりそうだった。

『嘘つかないで』

つくよ。

たとえあなたの頼みでも、今は嘘だらけの僕をやめることはできない。

『嫌いです』

『嘘』

『世間知らずなあなたが嫌い』

返事は返ってこなかった。

構わず続ける。