ふたつのさくら

やっぱりバレてた。

先代は杖を持たないで、僕の顔を覗き込むようにしゃがんだ。

「杖……」

「……ちょっとなら大丈夫だって。」

笑いながら答える。

「起きれるか?」

腕に力を入れる。

1ミリも、体が浮く様子はなかった。

「無理……。このままで、いいです……」

少し休めば部屋まで行けるくらいにはなる。

だからほっといていい。

なのに先代は不機嫌そうな顔をして、僕の腕を掴んだ。

そのまま立ち上がる。

「あっ、ちょ……」

「おっと……」

よろけながらも、僕を肩に担いで部屋へと入った。

座布団を並べただけの簡単な布団に寝かされ、頭の下にはなぜか、先代の膝がある。

降りようとしてもそんな体力ないし、あったとしても許してもらえないだろう。

なんで……?

目を開ければ、真上に先代の顔があるから、目を閉じていた。

「……朔羅。」

唐突に、先代が口を開いた。

「軽すぎる。」

「は……?」

思わず声を出してしまった。

薄く目を開ける。

先代は片膝を立てて、その上に肘をついて僕と目を合わせないようにしていた。

軽すぎってなんだよ、軽すぎって。

体重のことか?

しょうがないだろ、食べれないんだから。

そのくらい自分でも分かってるよ。

でも先代が言ったのは、そういうことじゃなかった。

「お前、自分のこと軽く見過ぎ。」

「……」

……そんなの、今に始まったことじゃない。

「これが終わったらどうするつもりだ?」

これってどれ?

なんのことかわかっていながら、僕は「この話が終わったら」と解釈した。

「……部屋、戻りますよ……。」

「そうじゃない。」

知ってるよ。

誤解されたくないなら最初から全部言えよ。

「……言いたく、ない……」

目を閉じた。

腐っても親だ。

知りたくないことを知らせる必要はないし、僕だって話したくない。

もうほっといてくれ。

こうやって優しくされればされるほど、誰の役にも立てない自分が虚しくて、嫌いになるんだから。