ふたつのさくら

当主はなにも答えなかった。

黙って、僕の肩に体重を乗せて、ゆっくりと歩いた。

そんなに遠くないはずなのに、家に着くころには辺りが薄明るくなっていた。

裏口から家に入ると、当主はすぐに倒れる。

当たり前だ。

あれだけ血を流せば誰だってそうなる。

むしろよくここまで歩けたものだ。

当主の携帯を使って菖蒲のところに連絡を入れておいたから、当主の治療はすぐに始められた。

死ぬことは、多分ないだろう。

僕は自分の部屋に戻り、これからの準備を始めた。

まだ確定しない未来、だけど99パーセント起こるだろうことのために。