ふたつのさくら

……そこにいたのは1匹の狐。

1匹の狐の妖怪と、赤黒い何かが、そこにはあった。

よくわからない匂いは、血の匂い。

そこにある赤黒い物体は、男の死体。

手足は引きちぎられ、はらわたを引き摺り出され、頭を潰された、人、だったもの。

原型がわからないほど破壊し尽くされてるのに、その目だけは、僕を恨むように見ている気がした。

「ゔっ……」

理解した瞬間、その場に激しく嘔吐する。

膝をついて、込み上げてくるものをただ吐き出すことしかできなかった。

喉が焼けつくように痛くて、気持ち悪くて、グロテスクな光景が頭から離れなくて……。

そんな状況を作った原因が、自分の中にいると思うと、あまりにも悍ましくて、怖くなった。

すぐに限界が来て、僕は気を失った。